《 桜吹雪 》 By. ELC

     その日 目覚めると約束の時間は優に4時間は超えていて
     気が着いた時にはしきりに電話が鳴っていた。
     ・・・・相手は勿論
     俺は恐る恐る受話器を取る
     「何か言いたい事は?」
     刺を含んだもっともな意見
     「すぐ行きます」
     俺はそう言って電話を切った
     急いで支度を済ませデーモンの所へ向う事40分
     黒いコートを着て寒そうに立ち尽していた
     「おはよう」
     精一杯の笑顔で声を掛ける
     勿論悪いのは十分承知の上で
     「エース この時間では花見は出来ないぞ」
     カイロを手に不平を呟く
     折角の休みだから、桜を見に行こうといったのも
     時間を決めたのも俺・・・・・
     今日は明らかに分が悪い
     俺達が立っている土手からは川沿いに植えられた桜が良く見える
     「8分咲き位かな」
     桜を見ながら誤魔化そうと思ったがそうも行かないらしい
     俺の顔を見ながらデーモンがむくれている
     「夜桜を見る前に昼の桜吹雪を楽しもうと言ったのは
      エースではないか それを遅れてくるなどと・・」
     「悪かった・・・・埋め合わせは必ずするから許してくれ」
     俺が頭を下げると肩を竦めて見せる
     「埋め合わせ? 生き埋めにでもしろというのか?・・・楽しそうだな」
     「オイ」
     俺が呟くと軽く身を翻して
     「実は 皆桜吹雪が見たいともう集まっているのだ」
     「なんだ・・・それなら、 早く行こう」
     言い掛けた俺の腕を引っ張ると駅の方へと踏み出して行く
     「どうしたんだ?」
     桜から離れて行くのを不審に思っていると
     「誘った奴が来ないわ 用意した物は早々に消費するわで
      買出しも 頼まれているのだ」
     と後ろも振り向かずに言う
     「本当はエースが代表で行けば良いが
      4名分だろう?・・・・負担は経費ぐらいで許してやろうと言う事で」
     結局文句言う割には首を突っ込む性分だからなぁ・・・と納得
     「まぁ・・・そう言う事にしておくよ」
     俺はまだ何か言いたげなデーモンの背を押した。
     「我輩・・・忘れないからな」
     「何を?」
     「埋め合わせだ」
     はいはい・・・思わず微笑した
     しょうがないよな・・・・まぁ、買出し付き合ってくれるみたいだし、俺が悪いし
     「何処に行く?」
     「我輩の部屋 春季大掃除ツアーなんてどうだ?」
     ・・・・・・・・・ちゃっかりしてるよ。
     ちゃんと顔に出たのか、デーモンは破顔する
     そりゃ・・・・楽しいだろうよ
     「約束は約束だからな」
     と追撃
     ・・・・絶対計ったな。
     軽く舌打ちをした所で痺れを切らしたのかライデンが来た
     「その様子だと今エース着た所でしよ?。俺も 買出し手伝う」
     「ああ・・・3名で分担すれば帰りが楽だからな」
     デーモンの言葉にガッツポーズのライデン
     川沿いから上がってくる冷たい風に身を竦めると
     淡いピンクの花びらが頬を擦めていった
     これ・・・デーモンと見たかったよな
     桜も触れて見たかったのか デーモンのウェーブに一片 一片
     花びらが絡む
     デーモンは気にする訳でもなく ライデンとはしゃいでいる
     (子供じゃあるまいし・・・)
     そう思って眺めていると、3名の開いてしまった距離を埋めるように
     花びらが俺の元にも舞い散って・・・・
     一片・・・ひとひら
     両手で握り締めた。
     (なぐさめてんのか?)
     聞いたけれど・・・・返事は解らなかった

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“エルミタージュ” ELC様より。カウンター1203番獲得で頂いた小説。
「ほのぼの・あったかAD。殿下友情出演」の巻。私的に“花見”ってのが、またソソル。(笑)

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